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(^ω^)雑談するお2nd season
- 1:内藤2023/01/30(月) 18:39:57
- 雑談するお(^ω^)の次スレです
- 285:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:08:49
- (´^ω^`)「うん! レールに落ちないように頑張らなきゃ」
彡()()ピクッ「レール…」
彡(●)(●)「ンゴ…!!!」
(´^ω^`)
彡(●)(●)「」
彡()()
彡(-)(-)「……」
彡(゜)(゜)「せやな、しっかり勉強せなアカンな 後悔しないように頑張るんやぞ」
(´・ω・`)「? うん!!勿論さ!!」
彡(^)(^)「さ、今日はクビツェクの合格祝いや! ジャンジャン飲むで!」
(´^ω^`)「飲もう飲もう!」
- 286:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:09:09
- この時、僕は合格の嬉しさの余り、アドルフの心境に気付くことができなかった 今思えば、親友として恥ずべきことだと思う
(´・ω・`)「ここにグランドピアノを置きたいんだけど…」
彡(゜)(゜)「おいおい、ワイを音楽家にするつもりかいな? もっと奥に置けるやろ」
(´・ω・`)「はは、アドルフは部屋中を歩き回るのが癖だからなぁ」
アドルフが美大に落ちたという事実を察するのに、それほど時間はようしなかった
彡(゜)(゜)「まっ、その位はええ ピアノによってワイの知識欲も活発になるってもんや」
彡(^)(^)「よっしゃ、もう一回乾杯や」
(´^ω^`)『かんぱーい!』彡(^)(^)
その頃には、アドルフは美大を諦め、建築家になるための独学を始めていた
なんにせよ、こうしてウィーンでの共同生活は始まった
ウィーンでの生活が始まって2ヶ月目のある日
朝6時
(´・ω-`)゜゜「ふあぁーあ さて、大学に行くか」
彡(-)(-)「ンゴー ンゴー」
(´・ω・`)(そーっと そーっと)ガチャ
- 287:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:11:30
- (´・ω・`)(アドルフの朝は遅い 彼はいつも遅くまで建築家の勉強をしたり
読書をしたりして、起きるのはいつも昼頃だ)
(´・ω・`)(対して僕は夜に楽器を弾くわけにもいかないから、
さっさと寝て朝早く学校に行く)
学校
教授「ふむ、君の知識は目に見張るものがあるな」
(´・ω・`)「ありがとうございます」
教授「君になら任せられるかもな…」
(´・ω・`)「?」
教授「実は課外レッスンの仕事の枠があってね 報酬も多くはないが出る
どうだい、やらないか?」
(´^ω^`)「ぜ、是非お願いします!」
(´・ω・`)(僕は音楽院にとても早く馴染むことができた 正当に評価され、優秀だと褒められた)
(´・ω・`)(こうして僕は、満足と幸福に浸りながら元気いっぱいに、
毎朝音楽院に行っている)
借家
(´・ω・`)「来期の時間割はこんなところでいいかな」ペター
彡(゜)(-)「チッ…」
(´・ω・`)(おそらく時間割は、僕の将来の公的な保証書のように見えたのかもしれない)
彡(●)(●)「この大学というやつは! 古くて硬直した時代遅れの役人、
理解不能な官僚、愚かな木っ端役人なんや! 大学なんか全部消し飛べや!」
(´・ω・`)(彼の顔色は死人のように青白く、口元からも血の気が引き、
唇はほとんど真っ白だった)
- 288:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:12:40
- (´゜ω゜`)(しかし彼の目は燃えるように輝いていた ぞっとするくらい…)
(´・ω・`)「でも、君が非難する大学の人たちは、やっぱり教授や先生なんだから色々彼らから学べることもあるんじゃない?」
彡(●)(●)「あの連中はワイを認めずに放り出しおった ワイは大学から締め出された…」
(´・ω-`)「……」
- 289:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:13:07
- (´・ω・`)「それで、これからどうするんだい?」
彡(●)(●)「どうするんだい、と言ったな?」
(´-ω-`) (きっと、この質問については彼も何度も何度も自分に問いかけたんだろう 他に話せる人だっていなかったんだから…)
彡(゜)(゜)「ワイには本がある! 図書館がある! 大学なんぞ行かなくても建築の勉強はできるんや!」
これが、彼のウィーン生活の指針となった
あくる日 宮殿通り
彡(゜)(゜)「はぁー、この国はホンマ駄目やな」
彡(゜)(゜)「チェコ人、ハンガリー人、スロバキア人、ルーマニア人、クロアチア人、イタリア人……民族の寄せ集め…傲慢な支配者層」
彡(゜)(゜)「愚かや 実に愚かや この間おまえと行った遊園地もなんやあれは! あんなおもちゃでばか騒ぎしおって…」
- 290:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:13:24
- (´・ω・`)(僕はそれなりに楽しめたけどね…)
(´・ω・`)「あ、アドルフ、皇帝が馬車に乗って宮殿に入っていくよ!」
彡(゜)(゜)「ほーんで?」
(´・ω・`)「即位60年だから最近は忙しいんだろうね」
彡(゜)(゜)「あーはいはい せやな」
(´・ω・`)「君はつくづく、この国の芸術以外の殆どを嫌ってるね…」
彡(゜)(゜)「なーにが42年の平和を築いた皇帝や 平穏な世界なんてつまらんだけや」
(´・ω・`)「この前ロシアとサムライの国が戦争したじゃない」
彡(゜)(゜)「ゆうてもワイらと関係ないやん さっさと起きへんかなぁー 「一心不乱の大戦争! 」んで世の中の嫌なもん全部吹き飛ばせや」
- 291:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:14:08
- (´・ω・`)「今の世の中戦争なんて起こる訳ないじゃん 大学の先生もそう言ってたよ」
彡(゜)(゜)「いいや、近いうち革命的な事件が必ず起こるで! てか起これや!」
(´・ω・`)(戦争が起こったら僕の指揮者の夢も駄目になるんだろうなぁ
ま、戦争起きた時の心配なんて杞憂だよね)
彡(゜)(゜)「大体、この間のボスニア併合で戦争になるとこやったやないか!
あんなもん国が弱ってますって言ってるようなもんやで!
やっぱり教授なんて信用ならんな!」
彡(゜)(゜)「クビツェク、お前も教授やら他人に聞いた話しを
鵜呑みにするんやなくて自分の頭で考えるんやで」
(´・ω-`)「はいはい、解ったよ」
(´・ω・`)(アドルフは、ウィーンでの生活を送るうちに政治への関心を高めていった)
(´・ω・`)(何より彼は『概念』というものを知らなかった)
彡(^)(^)「お、国民公園についたで! ここの英雄広場がパレードをするのに最適なんや!」
- 292:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:15:27
- (´・ω・`)「リンツのウアファール地区を思い出すね」
彡(゜)(゜)「せやな… ああ…住むところに関してはあの頃のがよかったな…
また帰ったら南京虫を駆除せな」
(´-ω-`)「それは言わない約束でしょ…」
(´・ω・`)(芸術の話をしていても、いつの間にか政治の話に移り代わってることも多くなった)
彡(゜)(゜)「こんなボロいアパートも、貧民も、
体制もいづれ起こる『革命の嵐』が『理想国家』を誕生させることで払拭されるで」
彡(゜)(゜)「社会改革や それで新しい時代が到来し、劣悪な住宅は取り壊されるんや…」
彡(゜)(゜)「ワイの独学が完了する頃にそれはやってくるんや
その時には正規の資格なんていらない実際の能力だけがものをいう素晴らしい時代が到来するんや」
彡(゜)(゜)「美大の目的は教授どもが自分の地位を脅かすワイの出世を阻むことにあるんや」
- 293:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:16:33
- (´・ω・`)(彼は、美大に行くよりも行かない方が自分は進歩することを、
教授たちに示そうとしていた)
(´・ω・`)(僕は思う 教授たちはあっさりアドルフの入学を拒否したけど、
それによって入学させた場合よりも強力な勉強意欲と
エネルギーを彼に与えることになったと)
(´・ω・`)「うーん、でもその独学の期間中どうやって生活するんだい?
かなりの時間がかかるとおもうんだけど」
彡(゜)(゜)「そんなことは親父とマッマの遺族年金と孤児年金が切れてから考えるで」
(´・ω・`)(君の場合は新しい計画や構想に没頭するから
余計に遠回りしそうなんだけどなぁ…)
彡(゜)(゜)「お前はええな 若い婦人に課外レッスンして金稼げるんやからな」
(´・ω・`)「あれは僕の努力じゃないよ 運がよかっただけさ」
(´・ω・`)「それに、僕に君ほどの才能があればとっくに何か副業を探しているよ」
彡(゜)(゜)「ほう…というと?」
- 294:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:18:16
- (´・ω・`)「たとえば、アドルフはスケッチができるじゃん
新聞社や出版社でイラストレーターの仕事を探すのはどうだい」
彡(゜)(-)「ワイに対する期待は嬉しいがな、おそらく報道関係のスケッチなら
写真の方がええやろ いくら優秀なイラストレーターでもカメラほど早くは書けん」
(´・ω・`)「じゃ、演劇の批評は? 君はもうその仕事をしてるようなものだし
君の批評を聞くウィーン市民は
僕でなければならない訳じゃないだろう?」
(´・ω・`)「もちろん、過激な発言なんかには気を使う必要はあるけどね」
彡(゜)(゜)「ウィーン市民にはドイツ系のオペラだけやなくて
イタリアやロシアのものも必要やろ」
彡(-)(-)「芸術は、特定の民族から生まれても、民族的な境界には束縛されんのや」
彡(゜)(゜)ギュルギュル
(´・ω・`)「ちょ…アドルフ…公園のど真ん中で脱糞しないでよ…」
彡()()「ワイがそんなことするわけないやろ…なに言うとんのや」
(´・ω・`)「あれ……なんとなくそんな気がしたんだけど」
彡(゜)(゜)「これは腹が空いとるだけや」
(´・ω・`)「君はいつも腹ペコだよね…
僕の母さんの料理を食べて以来パンと
ミルクとバターしか食べてないんじゃない?」
彡(゜)(゜)「飯なんてそれだけで十分や」
(´・ω・`)「僕も甘やかされてきた訳じゃないけど
君の食事内容にはついていけないよ…」
- 295:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:19:40
- 彡(゜)(゜)「そろそろ帰るか 浮浪者が多くなってきよった」
(´・ω・`)「そうだね」
彡(゜)(゜)「おっ、図書館やんけ 寄ったろ!」
(´・ω・`)「あれ?君はあっちの図書館を使ってるんじゃなかったっけ?」
彡(゜)(゜)「色んな本を借りられるように3つの図書館の会員になっとるで」
(・ω・`)「そ、そうだったんだ」
借家
彡(゜)(゜)パラパラ
(´・ω・`)「さっきから何を読んでいるんだい?」
彡(゜)(゜)「ル・ボンの『群衆心理』や これは凄いで」
(´゜ω゜`)「また建築と関係ない本読んでるんだね…
どっちかと言うとそれは政治系の本じゃないの?」
彡(゜)(゜)「これからは群衆が中心の世界になるからな 勉強しとかんと」
彡(-)(-)「それに、フランス革命でも暴徒化した
市民にいくつもの建築が破壊されたんや…」
(´・ω・`)「でも、直接建築には関係しないよね…」
彡(゜)(゜)「お前は本当に…なんというか小市民的やなぁ
金や職に関わらん本でも進んで読むべきやぞ」
- 296:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:20:44
- (´・ω・`)(このようにアドルフは、ひたすら読書していた
本のない彼を想像することはできないくらいだ)
彡(^)(^)「おお、この本は本当に参考になるなぁ…」
彡(゜)(゜)「クビツェク! お前も愚かな群衆にならんようにこの本を読むんや!
これは世の中の真実やぞ!」
(´・ω・`)「わかったよ…どれどれ」
彡(゜)(゜)「なにしとんねん! なんで目次をとばすんや」
(´・ω・`)「え…どうせ全部読むし…」
彡(゜)(゜)「全く、お前は本の読み方も知らんのやな! ええか、
読書ってのは本を選ぶ時から始まっとるんや」
(´・ω・`)(この点で彼は、平均的な読書家よりも明らかに優れていた)
彡(゜)(゜)「ワイは馬鹿みたいに本を読む奴を知っとる 奴らは本から本へ一字一句読む…」
彡(`)(´)「ワイはそいつらを『博識』とは呼ばん 確かにそいつらは膨大な知識を得るが、
脳はその取り入れた知識を分類整理する方法を知らん」
- 297:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:22:26
- 彡(゜)(゜)「一番大事なのは目次なんやで そして、
最初に核心部分から読むんや そしてそこだけを覚えて頭の図書館にしまい込むんや」
(´・ω・`)(彼の読書は、
自分の考えの中の欠けたピースを埋めるためのいわば知識の補完、
つまりは自己確認の意味合いが強かったのかもしてない)
彡(^)(^)「この『群衆心理』は全部が核心や!
そういう本だけ購入して手元に置いとくんや!」
彡(゜)(゜)「つうことで今から本屋に行くで!」
(´・ω・`)「ええ〜」
彡(^)(^)「いやぁ〜こんな本に出会ったんは
『ドイツ英雄伝説』以来かもしれんな! はよ行くで」
彡(^)(^)「♪」テクテク
(´・ω・`)「君は確かに凄い記憶力を持ってるけど、
本当に本だけで勉強を完成させるつもりかい?」
ムキュムキュ
彡(゜)(゜)「ファ!?」
彡(-)(-)ハァー
- 298:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:30:31
- 彡(゜)(゜)「とにかくお前には教師が必要みたいやな ワイに教師は余計なだけや」
彡(゜)(゜)「お前みたいなのを他人の机で学ぶ居候っていうんやで」
(´・ω・`)「僕にはよくわからないや」
帰宅後
彡(゜)(゜)「つまり、群衆に理論は通じんで感情が聞くんや」
彡(^)(^)「それみろや、この本の著者もワイと同じ考えや」
彼はよく、読書の後こう言った
内藤 ル・ボンの『群衆心理』は19世紀末の本やが今のネット社会でも十分参考になるで 講談社でててオススメや
- 299:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:31:01
- 劇場
彡(^)(^)「やっぱりワーグナーは最高や!」
(´・ω・`)「リンツの劇場でも何回も聞いたけどやっぱり都会でのものとは格が違ってくるね」
彡(゜)(゜)「ワイはいつかドイツ民族の巡礼の地・バイロイトに訪れるで ヴァーンフリート館を見て、ワーグナーの墓参りをするんや…」
彡(^)(^)「そしてワーグナー自身が作った劇場でワーグナーの作品を見るんや! くぅ〜夢が広がるで!」
アドルフの生涯では多くの夢と願望が未完のままに終わったが、この願望だけは完璧に叶った
チラ……チラ…
(´・ω・`)(……ん?)
- 300:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:31:51
- チラ……チラ……
(´・ω・`)(向こうの婦人たちがこっちを見てる……?)
(´^ω^`)(もしかして……僕にも春が……)ワクワク
チラ……チラ……
彡(゜)(゜)
(´・ω^`)(……)
(´・ω・`)(違う…この視線はアドルフに向けられたものだ……!)
(´・ω・`)(アドルフは質素な服装で素っ気ない控え目な態度……)
(´・ω・`)(僕と大して変わらないのに……一体どこに差があるんだろう?)
(´・ω・`)(婦人たちは、彼の謎の魅力を感じとっていた)
(´・ω・`)(時には、振り向いて彼を見る婦人すらいた(これは宮廷劇場においてマナー違反)
- 301:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:32:48
- チラ……チラ……
彡(゜)(゜)「…チッ 行くでクビツェク」
(´・ω・`)「う、うん」
(´・ω・`)(さらに驚くことに、これだけ人気があってもアドルフは何もしなかった)
彡(゜)(゜)「全く、なっとらん、なっとらんなぁ」
劇場 外
(´・ω・`)「君は強い女運を持ってるのに、どうしてそれを利用しないんだい?」
彡(゜)(゜)「……なんのことや? それより来週の公演は〜」
(´・ω・`)(アドルフが周囲の出来事を見逃すとは思えない きっと気付こうとしていないんだ)
(´・ω・`)(なんでチャンスがあるのにそれを掴まないんだろう?)
彡(゜)(゜)「そろそろ後半が始まるで 戻ろうや」
(´・ω・`)「うん」
女召使「あの……これ……」
女召使はアドルフの袖を引っ張り、カードを一枚手渡した
彡(゜)(゜)「はぁ…どうも」
女召使「」たったったっ
(´゜ω゜`)(つ、遂に大きな秘密を掴んだぞ! これから新しいロマンスが始まるに違いない!)
- 302:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:33:49
- 彡(-)(-)ハァー
彡(゜)(゜)「またや」
(´・ω・`)「え…」
彡(゜)(゜)「見てみいや、これ お前やったらこの意味ありげな誘いに応じるか?」
(´゜ω゜`)「これは僕の問題じゃなくて、君の問題じゃないか」
(´・ω・`)「でも僕なら、あの婦人を失望させたくないかな」
彡(゜)(゜)「そか」
ヴー
彡(゜)(゜)「お、そろそろ始まるで」
(´・ω・`)(一体女性たちはアドルフのどこにそれほど魅力を感じるんだろう?)
(´・ω・`)(たしかに彼は均整のとれた顔立ちでスラリとした若者だ)
(´・ω・`)(でも一般的に「美男子」と呼ばれる容姿じゃあない)
彡(゜)(゜)「あの主役、なかなかええ男やんけ」
(´・ω・`)(あの舞台の上で踊ってる美男子とアドルフの違いはなんだろう…?)
(´・ω・`)(考えられる線といえば……並外れた明るい目……)
(´・ω・`)(そして妙に厳しく、禁欲的な表情……?)
(´・ω・`)(う〜ん……)
- 303:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:35:41
- オペラ終了後 街道
(´・ω・`)「そういえば、アドルフはステファニー以外に好きになった人っているの?」
彡(゜)(゜)「おらん ステファニー以外の女なんて眼中にもないで」
彡(゜)(゜)「ステファニーこそドイツ女性の理想像なんや…
ステファニー以外の女にうつつを抜かすなんてことはドイツ民族に対する冒涜や」
(´・ω・`)(彼は既にステファニーを諦めていたけど、
彼女はアドルフの道徳観の拠り所として彼の心中に生き続けた)
彡(゜)(゜)「彼女がウィーンにいたなんて信じられんな
この都市は売春が蔓延るドイツ女性の敵や」
彡(゜)(゜)「全てはこの国の多民族性が悪いんや!
チェコ人、マジャール人、クロアチア人、イタリア人が〜!」
(´・ω・`)(ま〜た始まった 最近は何を話してもここに行き着く)
- 304:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:40:33
- 彡(゜)(゜)「この都市の性は乱れきっとる! 例えばバ……」
(´・ω・`)「バ?」
紳士ピクッ
彡(-)(-)「…いや、お前は知らんでええ」
紳士ジー
紳士「君たち、最近の暮らしぶりは如何かね?」
(´・ω・`)(おっ、身なりが上流階級のそれだ)
彡(゜)(゜)「いいとは言えませんな なにせ貧乏学生なもので」
- 305:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:40:57
- (´・ω・`)「彼は建築を学び、僕は音楽を学んでいます」
紳士「なるほど、ならば未来のオーストリアを担う若者という訳だ」
紳士「まずうち……の近くにホテルがあるんだ 夕食を食べていかない……か?」
(´・ω・`)「えっ、本当ですか!?」
彡(゜)(゜)「……」
(´・ω・`)「アドルフ、たまにはこういうのもいいんじゃない?」
彡(゜)(゜)「…せやな ご馳走になろか」
ホテル前
(´゜ω゜`)「うわぁ……大きいところですね 屋上があんなに高い」
彡(゜)(゜)「ほう、中々ええ建築やな」
- 306:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:41:20
- 紳士ジー
紳士「さあ、早速中にイこうか」
ホテル内
紳士「さぁ、好きなものを注文するといい」
(´・ω・`)「じゃあ僕は…」
彡(゜)(゜)「……」
(´^ω^`)「ふふ、僕こんなところに来たことないよ! アドルフは何を食べる?」
彡(゜)(゜)「せやな…じゃあワイは
- 307:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:41:59
- つの間にかいなくなったな」
紳士「おまたせ デザートはケーキしかなかったんだけどいいかな」
(´・ω・`)「デ、デザートまで!」
彡(^)(^)「おっ、甘い物はワイの好物や」
食後
(´^ω^`)「ああ〜もうお腹いっぱいだ」
彡(゜)(゜)「すっかりご馳走になりました」
紳士「いやいや、若者を応援することが大人の務めというものさ」
- 308:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:42:35
- 紳士「しかし、君は最近の若者にしては鋭い考えを持ってるようだね 先程交差点で君たちの話を聞いたらイても勃ってもいられずにね」
(´・ω・`)「アドルフはすっごく女の人にモテるんですよ でも、全然それに興味を示さないんです」
彡(゜)(゜)「おいおい、よせって」
紳士「ほう…実に興味深いね」
(´・ω・`)「さっきだって女の人からお誘いのカードを貰ったのにチラっと見ただけでしまっちゃうんです」
- 309:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:43:20
- 紳士「ははは、君は私の若い頃にそっくりだね」
紳士「私はフェクラブルックの工場主をしていてね、最近は金目当ての婦人ばかりに寄られてね」
彡(゜)(゜)「最近のウィーンは欲にまみれてますからな かつての英雄がいた時代が輝かしいばかりです」
紳士「本当にね… 筋骨隆々の男達が戦場で合間見えていた時代はもう遠い昔だ」
紳士「君の方は音楽を学んでいるんだってね 私は最近室内音楽に凝っているんだが」
(´・ω・`)「本当ですか! 室内での音響は〜」
喋ること数分
- 310:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:43:39
- (´・ω-`)「うーん、少し眠くなってきたかな……?」
彡(゜)(゜)「はは、彼は毎朝早いのでこの時間はもうベッドの上なんです ではそろそろ」
紳士「ああ、今日は実に楽しかったよ」
紳士「それと君……」
二人の借家
彡(゜)(゜)「クビツェク、起きろや」
(´・ω-`)゜゜「うーん、あれ、僕いつの間にか寝ちゃってた?」
彡(゜)(゜)「全く、お前を背負って来るのは大変やったで」
- 311:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:44:06
- 彡(゜)(゜)「ところでクビツェク、お前あの紳士を気に入ったか?」
(´・ω・`)「申し分ないよ! 芸術を好み、とても教養ある人だ」
彡(゜)(゜)「他には?」
(´・ω・`)「? 他に何があるんだい?」
彡(゜)(゜)「クビツェク、どうやらお前は肝心なことを何もわかっとらんな」
彡(゜)(゜)「このカードを見てみいや」
(´・ω・`)「何のカードだい? 名刺?」
『また、今日と同じホテルにおいで』
彡(゜)(゜)「つまり、あいつは『ホモ』や」
(´゜ω゜`)「ええ……!? 何それ……?」
彡(゜)(゜)「ホモってのはな……」
ーーーーーー
- 312:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:44:54
- (´゜ω゜`)「ひええ…… アドルフ、まさかまた行くの……?」
彡(゜)(゜)「行くわけないやろ、このドアホ! 名刺はストーブにポイーや」
アドルフは大都市のさまざまな性的倒錯に強い
嫌悪感をもって立ち向かっており、
彼自身も、若者がよく耽るマスターベーションを拒否していた
堕落した都市ウィーンの真ん中で、
アドルフは自身の周囲に堅固な防壁を築いていた
(´・ω・`)「うう…なんかショックだよ」
彡(゜)(゜)「まだまだクビツェクは田舎もんやな ここきて1年やぞ?
ええ加減都会に染まれや」
それによって、危険な周囲から独立して内面的自由の中に自分の身を置くことができたのだ
- 313:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:45:16
- 彡(゜)(゜)ギュルギュル
(´・ω・`)「はは、アドルフまた空腹でお腹が鳴ってるよ ……あれ? さっきご馳走食べたのになんで? 」
彡(゜)(゜)「さ、最後に飲んだ紅茶が腹に合わんかったみたいやな!」
彼は孤独であり続け、修道士のような禁欲生活の中で自分の存在を守り続けているのだ
- 314:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:45:42
- 1908年4月
大家「クビツェクさんに手紙ですよ」
(´・ω・`)「どうも 何かな」ビリー
(´・ω・`)「……」
彡(゜)(゜)「どしたクビツェク」
(´・ω・`)「これだよ よんでごらん」
彡(゜)(゜)「どれどれ」
彡(゜)(゜)「……」
彡(●)(●)「クビツェク、絶対行っては駄目や もし行ったらおまえは愚か者や こんな令状、ワイが破り捨てたる!」
- 315:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:46:03
- (´゜ω゜`)「あっ、駄目だよ!」
(´゜ω゜`)「全く、ヒヤヒヤさせないでよ」ゼーゼー
彡(。)(゜)「くそ、一体どうすれば……」
(´・ω・`)「まだ合格になるとは決まってないよ 去年肺病になったし」
彡(゜)(゜)「せやな、とにかく、リンツに戻って兵役検査は受けた方がええ」
彡(●)(●)「だがもし、合格した場合はこっそり越境してドイツに行くんや 絶対ハプスブルク家の兵隊になったらアカン」
(´・ω・`)「そんなことできるのかな…」
彡(゜)(゜)「あと9ヶ月でワイも20や その時がきたらワイはそうするで」
(´・ω・`)「とにかく、音楽院の先生に相談してみるよ」
音楽院
校長「君は音楽院生だから、1年志願兵になる資格がある でも君は職人の息子だから後備兵に志願したほうがいい」
(´・ω・`)「兵役を逃れる為にドイツに行くという方法はどうでしょうか」
校長「!? 悪いことは言わないからやめておきなさい……」
校長「とにかく、ご両親に手紙を出すんだ」
- 316:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:46:19
- (´・ω・`)「はい」
数日後
父『お前はなんてことを言い出すんだい?』
(´・ω・`)「えっ」
父『国境越えなんてしたら脱走とみなされ罰せられるだろう そしたら故郷に帰ることができなくなり、もう私達と会うこともできなくなる』
(´゜ω゜`)「これは校長先生の言う通りにした方が良さそうだ…」
(´・ω・`)「ということで、後備兵に志願するために今期の授業と学期末コンクールが終わったら一旦リンツに帰るよ」
彡(゜)(゜)「ムム……たとえ3ヶ月といえどもハプスブルクの兵隊に……」
- 317:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:46:42
- 彡(゜)(゜)「まっ、ワイと違ってお前は家族と故郷があるからしゃあないな」
(´・ω・`)「やっぱり自分の時はやるつもりなんだね……」
彡(゜)(゜)「それより、期末のコンサートが近いんやろ? 指揮者への進路が決まるイベント言うてたやないか まずはそれに集中しろや」
(´・ω・`)「うん そうするよ」
こうして、いつも通りの日々が過ぎていった
数ヵ月後 ヨハンネスホール
♪〜♪〜♪〜
(´・ω・`)(よし、カールもソリストも練習どうりにやれてる)
(´・ω・`)(簡単な演奏じゃないけど…このままミスなくいってくれ…!)
♬〜♪~♩〜〜♬
バチバチパチパチパチパチパチパチ
(´・ω・`;)(ふぅ、なんとか無事に終わったぞ)
(´゜ω゜`)(でも本当の難関は次…! 僕の作曲したオーケストラ曲がプロの宮廷歌手に歌われるんだ…!)
- 318:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:48:09
- アーツキホーシタチヨー
(´>ω<`)(これに僕の芸術家人生がかかっている…! どうか…!)
(´・ω・`)(お、終わった… )
パチパチ
(´・ω・`)(お……)
パチパチバチバチパチパチパチパチパチパチバチバチパチ
(´゜ω゜`)(やった…拍手だ…)
楽屋
彡(゜)(゜)「おークビt」
教授松「凄い反響だったぞ 指導したものとして鼻が高いぞ」
(´・ω・`)「教授! ありがとうございます」
校長「いやー期待以上だ ドラフト一位も夢じゃないよ」
(´^ω^`)「またまたそんな…」
ワイワイ ガヤガヤ
(´^ω^`)
ワイワイ ガヤガヤ
彡(゜)(゜)「……」
(´・ω・`)(一年前まで、僕はほこりっぽい椅子張り職人だった…)
(´-ω-`)(内気な僕がここまでこれたのは、アドルフのおかげだ 感謝してもしたりないよ)
彡(゜)(゜)「おめでとさん」
(´^ω^`)「アドルフ! ありがとう!」
- 319:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:49:06
- 公園
(´・ω・`)「あと2、3日したら、僕はリンツに戻って兵役検査を受けるよ」
彡(゜)(゜)「久々の故郷や 両親と過ごしてこいや」
紳士「そうだよ 里帰りして親孝行しないと」
(´・ω・`)(なんでこの人がいるんだろう)
紳士「今日の指揮は迫真の出来だったらしいじゃないか どこかのオーケストラから推薦もウケたんじゃないか?」
彡(゜)(゜)「え…そうなんか」
(´・ω・`)「えっと…まぁ紹介はされたけど」
彡(゜)(゜)「…… そか よかったなクビツェク」
紳士「で、これからどうするんだ?」
(´・ω・`)「どうするって… 故郷に帰って… 兵役をうけて…」
(´・ω・`)「いずれにせよ、僕達は一緒です」
- 320:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 21:49:58
- 彡(゜)(゜)「……」
1908年7月
駅
(´・ω・`)「じゃあ、暫くの間お別れだねアドルフ ステファニーのこと、ちゃんと調べておくよ」
彡(゜)(゜)「いや、ステファニーのことは調べんでもええ」
この時、僕はどこか彼に違和感を感じた しかし、それに気付くことはできなかった
彡(゜)(゜)「お前は大人しすぎるからな、軍隊で多民族の奴らに目つけられんように気をつけるんやぞ」
彡(゜)(゜)「特に、ユダヤ人にはな」
『都会には卑怯者しかいない 英雄が生まれるのは田舎だ そして、田舎にユダヤ人はいない
ーーハインリヒ・ヒムラー』
彡(゜)(゜)「じゃあなクビツェク」ガシッ
彼は僕の両手をとり(彼が両手を握ることは珍しいことだった)、しっかり握りしめた
(´・ω・`)「うん、またね」
それから彼は回れ右して、一度も振り向かずに、少し早足で出口に向かった
- 321:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 22:04:36
- こうして、僕はリンツへ一時帰還した
リンツ
(´・ω・`)(両親は、僕を快く迎えてくれた)
(´・ω・`)(久々の故郷はちっとも変わっていなかった ドナウ川も、それに跨がる橋も)
(´・ω・`)「父さん、仕事を手伝うよ」
父「すまないな」
(´・ω・`)「父さんは凄いよ たった一代でここまで事業を築くなんて」
父「まだ職人仕事を尊重してくれてるみたいだな うれしく思うぞ」
- 322:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 22:06:24
- (´・ω・`)(アドルフはああ言ったけど、
どうせ後になって騒ぐんだからステファニーのことを調べておこう)
(´・ω・`)(いないな… 一家全員ということは避暑にでも出掛けたのかな?)
(´・ω・`)(あれから、アドルフと何回か手紙のやり取りをした
冗談を言ったり、最後に親愛なるご両親によろしく、
と付け加ええているいつも通りのものだ)
(´・ω・`)(そして帰る日が決まり、手紙にその日時を書いた)
11月20日
- 323:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 22:07:01
- 駅
(´・ω・`)「あの柱の下が、いつもの待ち合わせの場所なんだよね」
(´・ω・`)「あれ…いない」
(´・ω・`)「さてはまた寝坊してるんだな…全く 手紙に書いたのに…」
20分後
(´・ω・`)「……待合室にいるのかな?」
(´・ω・`)(……)
(´・ω・`)「もう一度ホームに行ってみよう」
- 324:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 22:07:44
- 1時間後
(´゜ω゜`)「おかしいな… 時間を破るなんて彼かしくない」
(´・ω・`)「まさか……病気!?」
(´゜ω゜`)「そうに違いない! そういえば手紙にまた気管支カタルがぶり返してるって書いてた! いそいで借家に行こう!」
借家前
大家「あらこんにちは」
(´@ω@`)「こんにちは!」
大家「……どこへそんなに急いでるんです?」
(´・ω・`)「どこって……ここは僕達が借りてる家じゃないですか!」ガチャガチャ
(´゜ω゜`)「あれ、開かない」
- 325:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 22:08:01
- 大家「もしかして何も知らないのですか?」
(´・ω・`)「……え?」
大家「ヒトラーさんは引っ越しましたよ」
(´゜ω゜`)「ええっ!?」
(´・ω・`)「か、彼はどこに引っ越したのでしょうか?」
大家「そのことについては何も」
(´・ω・`)「しかし彼は僕宛てに何か残したはずです 手紙とかメモ書とか それはどこに?」
大家「いいえ、ヒトラーさんは何も残さなかったわ」
(´・ω・`)「挨拶もなしですか!?」
大家「何も言わなかったのよ」
- 326:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 22:08:24
- (´ ω `)
(´ ω `)(彼は自分の分の家賃を払い、姿を消した 次の日から、僕は独り孤独に新しい部屋を探しに出掛けた)
(´・ω・`)「ここでいいかな…」
(´-ω-`)(アドルフ…一体何があったんだ… 思い返しても、理由がみつからないよ)
(´・ω・`)(きっと、ひょっこり現れるに違いない 元大家さんや学校、実家に僕の住所を教えておこう きっと彼が辿ってくるはずだ)
しかし、一週間たっても、翌週になっても、アドルフは来なかった
(´・ω・`)(確かに、ピアノを弾いたら怒ったり部屋中をうろうろしたり急に演説を始める同居人がいない方が勉強は捗るかもしれない)
(´-ω-`)(でも、それじゃ駄目なんだ 君がいなければ僕の人生は平凡で退屈にしか思えないんだ)
- 327:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 22:09:12
- 劇場
(´・ω・`)(ここにくれば、アドルフに会えるかもしれない)
(´・ω・`)(『真夏の夜の夢』……か)
(´・ω・`)(ああ、いい…けど、一人だけじゃ感想は言い会えない…面白さも半減だよ…)
(´・ω・`)(そういえば、リンツの劇場ではいつも柱の下で二人で見てたな…)チラ
(※※※)
(´゜ω゜`)「あ、アドルフ!?」
( `ハ´) 「何アルか?」
(´・ω・`)「すいません…人違いでした」
( `ハ´) 「?」
- 328:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 22:09:32
- (´・ω・`)(あれから一年がすぎた)
(´・ω・`)(ある情報によると、彼は貧民街の独身者合宿所に行ったらしい)
(´・ω・`)(でも今は、どこにいるか解らない 兵役から逃れる為にドイツへ行ったか、それを無視してまだウィーンにいるか…)
(´・ω・`)(彼は、大都市の闇に姿をくらませた)
(´・ω・`)(彼には、もう友達がいなかった 大都市の真ん中にいる人ほど孤独なものはない 彼が選んだ道は辛く険しいものだった)
彼は、自分の貧乏を恥じており、もう友達が欲しくなかったのだ
(´^ω^`)『もしオーケストラの指揮者の推薦が決まったら、もっと僕が家賃を負担できるようになるよ!』
彼が選んだ運命の道は、孤独、荒涼、虚無に通じる道だった
最終話・総統兼帝国宰相アドルフ・ヒトラーに続く
1912年 私立劇場
- 329:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 22:09:51
- ザワザワ ザワザワ
ヴー
『ロルツィングの【刀鍛冶】指揮者 アウグスト・クビツェク』
(´・ω・`)ノ ̄サッ
♪〜♪〜♪〜♪〜
(´・ω・`)(音楽院での徹底的な四年間の勉強の後、僕はスロヴァキアの私立劇場の補助指揮者になった)
ヽ(´・ω・`)ノシ\(そしてこの舞台が僕の指揮者デビューだ!)
(´-ω-`)ノ ̄
バチバチパチパチパチパチパチパチ
『続いてホロトウ【マルタ】』
(´・ω・`)ノ ̄ジャカジャン〜
- 330:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 22:11:03
- バチバチパチパチパチパチパチパチバチバチパチパチパチパチパチパチバチ
(´・ω・`)(この最初の本格的な仕事は成功に終わった)
(´・ω・`)(スロヴァキア…アドルフから聞いていた話でいいイメージはなかったけど、
そんなことはなかった 結局、それは偏見でしかなかった)
支配人「素晴らしい!来シーズンまでの契約を早速結ぼう」
- 331:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 22:11:31
- (´・ω・`)「はい これからよろしくお願いします」
(´・ω・`)(それから、僕はスロヴァキアをまわった 南の田舎から聞きにきてくれる人もいた)
スロヴァキア とある街
『続きまして『エヴァ』 指揮者アウグスト・クビツェク』
(´-ω-`)スッ
♪〜♪〜♪〜♪〜♪
???「ほう…あの指揮者…使える」
- 332:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 22:12:15
- 公演後 楽屋
支配人「クビツェク君、君に会いたいという人が来ている」
(´・ω・`)「はぁ」
(´゜ω゜`)「あ、あなたは!」
大オペラ監督「君がクビツェク君か 君に来年、
1914年に私のオペラで指揮者をやって貰いたい」
(´・ω・`)「ぜひ、是非お願いいたします!」
(´・ω・`)(やった! クラーゲンフルトの楽団といったら
40人のオーケストラに美しい劇場、
近代的な設備もある そしてケルンテンの州都、つまり都会だ!)
(´^ω^`)(やったやった! もう最高だよ!)
申し分なかった 僕はこの時、幸福に酔いしれていた
数ヵ月後 1914年
- 333:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 22:13:41
- ドガーン バパパババパパバパパ
ヒュルルルルルルルル ズガッ 突撃ィー!!! ママー
(´゜ω゜`) ▄︻┻┳══━
パンパンパンパンパン ドヴルルルルルルルル
ロシアジンダ!コロセ! パンパンパンパンパン ドガー
アカメ!ブッコロスブッコロスイヤッホォォォゥ
- 334:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 22:14:01
- (´゜ω゜`) ▄︻┻┳══━
(僕は…なんでこんなところに…今頃『ローエングリン』の指揮をしていた筈じゃ…)
アパーム!タマモッテコーイ フゥアハハハー パンパンパンパンパン
大砲ヨーイ ズガーン パパパパパパパ
軍曹「伏せろ、クビツェク二等兵!」
(´゜ω゜`)「うわああ」
- 335:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 22:14:27
- ズガーン
軍曹「死にたいのか貴様! 常に腰を低くしていろ!」
(´゜ω゜`)「はい……」
士官「我々はこれからガリチアに向かう! ロシア熊どもから祖国を守るのだ!」
(^q^)(°∀°)『サー、yes、サー!!!』(゜ロ゜)(´゜ω゜`)
ウオオオオオオ?? 砲火だ! ズガーーーー ウアアアアア
パパパパパパパパパパパパパパ ドガーン
(´゜ω゜`)(とにかく、今は生き残ることだけ考えよう……)
ガガガガガガガガガガガガ トツゲキー
ズガーン
- 336:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 22:14:52
- 1915年
(^q^)「クビツェク、よけろー!!」
(´・ω・`)「えっ」
ズガーーーーーン
(´。ω゜`)「うああああ!!!!」
(^q^)「衛生へーい!!」
野戦病院
(´・ω・`)(ああ…なんとか命拾いした…でも、重症の人はみんな棄てられていく…)
(´-ω-`)(僕も覚悟を決めておこう…)
上官「アウグスト・クビツェク二等兵、回復したな 次の戦地が待ってるぞ」
(´・ω・`)(助かった……いや、また地獄に行くだけか……)
上官「その前に1ヶ月の休暇が下りた 故郷で過ごすといい」
(´・ω・`)「はっ」
リンツ
(´゜ω゜`)「えっ…ここがリンツ…? ここまで荒れ果ててたなんて…」
父「クビツェク…生きてたか…そうか…神はまだお前を見捨てなかったか…」
- 337:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 22:15:17
- (´・ω・`)「父さん…店は…」
父「もう…疲れた 店は閉める ここら一体みんなそうさ」
(´・ω・`)「……」
1917年
(°∀°)「やった!ロシアで革命が起こったぞぉー!!」
(´・ω・`)「やった!これで帰れる…?」
(^q^)「次はイタリアが攻めてきたぞぉー!!」
(´ ω `)「ええ…」
1918年
母『戦地で頑張る息子へ この度、父が死去しました』
(´;ω;`)(父さん…もっといい晩年を送って欲しかった…何もこんな絶望と悲痛の中逝かなくてもいいじゃないか…)
ーーーーー
ーーー
ー
(°∀°)「俺達は……負けた」
- 338:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 22:16:25
-
(^q^)「……ちのう」カチャ
(°∀°)「……俺も」カチャ
(´゜ω゜`)「あっ…駄目だよ!!」
バンバン
(°∀°)「」(^q^)
(´゜ω゜`)「あう…あう…」
( ・`ω・´)「折角命拾いしたのに…馬鹿な奴らだ」
(´゜ω゜`)「上官……」
- 339:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 22:16:44
- ( ・`ω・´)「クビツェク二等兵、ここで俺達の部隊は解散だ」
(´・ω・`)「上官…僕はこれからどうすればいいのでしょうか」
( ・`ω・´)「そうか、お前は元音楽家だったな これからの時代生きていくのは厳しいだろう」
( ・`ω・´)「取り敢えず、故郷に帰れ」
(´゜ω゜`)「はい」トボトボ
( -`ω-´)(あいつも、不運な奴だ 時代が違えば名のある音楽家になれたものを…)
( ・`ω・´)(だが、戦争では落ちぶれる奴がいるのと同時に成り上がる者もいるものだ 革命と同じだな)
( ・`ω・´)(取り敢えず、俺はドイツの義勇軍にでも入るか)
- 340:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 22:17:04
- ウィーン
(´・ω・`)「あの、この劇場で指揮者や奏者は募集してますか」
支配人松「こんな時代やってる訳ないぞ」
(´・ω・`)「はい…わかりました」
(´・ω・`)「あの、ここで」
従業員「ああ!?忙しいんだ帰ってくれ!」
(´゜ω゜`)「そりゃそうさ…敗戦国が呑気に音楽なんてやれる訳がない やってるとしても国営劇場外側くらい…」
(´゜ω゜`)「でも、そんな大きいところで僕みたいな新米を雇ってくれる訳ない…」
(´゜ω゜`)「映画館の楽長…取り敢えずこれで食いつなぐか…」
(´・ω・`)(この仕事も人件費削減ですぐ終わった…)
(´゜ω゜`)(せめて、個人レッスンの契約でも見つけなきゃ……!)
数日後
(´・ω・`)(誰も見向きもしない… 万事休す…か)
母『クビツェクへ 隣り街の役場で職員を募集しています 市長もあなたの音楽的才能について関心をもってくれています』
- 341:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 22:17:29
- (´・ω・`)(音楽と…全く関係ない 母さんはそれをわかってるみたいだ)
(´・ω・`)(背に腹は変えられない…か)
リンツの隣り街 エファーディング
市長松「受験番号334番アウグスト・クビツェク君」
(´・ω・`)「はい」
市長松「合格だぞ」
(´・ω・`)「…ありがとうございます」
この瞬間、僕の音楽家への道は終了した
(´・ω・`)(でも、僕は幸せ者なんだよね 今オーストリアじゃあ自分の夢どころか今日のパンにすら事欠く人が大勢いるんだ)
(´・ω・`)(夢なんて…贅沢なこと言ってられないんだ…)
(´;ω;`)
こうして、僕は役人になった
- 342:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 22:17:50
- 1920年
(´・ω・`)(生計は楽じゃなかったけど、段々音楽の趣味に捧げる時間もできてきた)
(´・ω・`)(そして、街の仲間とオーケストラを立ち上げた 小さな町の小さな楽団だ 仕事をしながらたまに野外コンサートをしたりした)
「待ち受け番号334番ハンス・ヒトラーさん、5番窓口にどうぞ」
※ヒトラーという姓は、オーストリアではそれほど珍しくない
(´・ω・`)(ん)
(´・ω・`)(アドルフ…か 懐かしいな あの頃は、本当に楽しかったなぁ)
(´・ω・`)(そういえば、彼は今何をしてるんだろう)
(´・ω・`)(ゲルマンの英雄に憧れていた彼だ きっと僕よりも立派な兵士になったんだろうな)
(´・ω・`)(もしかしたら、戦死…?)
- 343:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 22:18:24
- 上司「クビツェク君、書類はまだかい?」
(´・ω・`)「はい、只今」
(´・ω・`)(ま、アドルフなら生きてたら有名な建築家か芸術家になっているんだろうな)
この時、僕は彼がミュンヘンの政治家になっているとは思いもしなかった
数ヵ月後
(´・ω・`)「うーん、中々景気は回復しないなぁ」シンブンパラー
『彡《●》《●》
国家社会主義の著名な大衆演説家、アドルフ・ヒトラー』
(´・ω・`)「」ピタッ
(´゜ω゜`)「はい?」
(´・ω・`)(そうか…アドルフも芸術家の道はあゆめなかったんだな…)
(´-ω-`)(……)
- 344:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 22:18:51
- 1923年
『アドルフ・ヒトラー 逮捕』
(´・ω・`)(余りま驚くニュースでもないかな)
(´・ω・`)(でも、彼が読んでた「群衆心理」で言ってたけど先導家って一回失敗したらもう終わりなんじゃ…)
しかし、彼は、甦った
(´・ω・`)(最近は、このオーストリアの新聞でもアドルフの名前をよく見るなぁ)
「大ドイツ主義いいゾ〜これ」
「ヒトラー氏(オーストリアに)入って、どうぞ」
「(英仏政府)これもうわかんねぇな」
「(ユダヤ人)†悔い改めて†」
(´・ω・`)(アドルフはすごいな 昔は僕一人だけしか彼の話を聞いていなかったのに今は数万人が聞いてる)
(´・ω・`)(ん……なんだろうこの違和感は)
(´゜ω゜`)「あっ!」
- 345:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 22:19:14
- クビツェクの家
(´・ω・`)「あった…!このトランク、アドルフの葉書、手紙、スケッチが沢山ある」
(´・ω・`)「送るべき…かな?」
(´・ω・`)「う〜ん、でも、僕のことなんてもう覚えてないよね 取り敢えず保管しておこう」
そして1933年、アドルフ・ヒトラーは帝国宰相となった
(´゜ω゜`)「……」
(´・ω・`)「よしっ、一筆書くか」
(´・ω・`)(僕は勿論返事を期待していなかった)
(´・ω・`)(帝国宰相は忙しくて、25年も前の友人に返事を書く暇なんてないだろうから…)
(´・ω・`)(でも、政治的なことは抜きにしても、旧友としてお祝いを述べる必要はあるよね)
一ヶ月後
郵便屋「ク、クビツェクさんお、お、お便りです…」
(´・ω・`)「はい(なんでこんなに怯えてるんだろう?)」
(´・ω・`)「えーと、差出人は…」
(´゜ω゜`)「アドルフ・ヒトラー」
- 346:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 22:20:22
- 彡(゜)(゜)
『親愛なるクビツェク!
今日やっと君の手紙を見た。就任以来、膨大な量の手紙を見るので、こういうことは珍しくないないのだ
それだけに、長い年月の末に初めて君の消息と居場所がわかって、とても嬉しい
困難な闘争の日々が終われば、僕よりも喜んで我が人生最良の日々の思ひ出にまた浸りたい
君が僕のところに来ることは可能だろうか 旧友を想いながら、君と君の母上にご多幸をお祈りします
アドルフ・ヒトラー』
彡(゜)(<)
(´・ω・`)
『我が人生最良の日々』
(´・ω・`)
(´;ω;`)「うっ……うっ……うあああああ
ーーーーー
ーーー
ー
『君が僕のところに来ることは可能だろうか』
(´・ω・`)「うーん、これどういうことだろ 僕がオーバーザルツブルクの山荘に? いやそれはないな…」
(´-ω-`)「それに、一体何を話せばいいんだ……僕は政治的な意見なんて言えないし、何より戦争は音楽ができなくなるから嫌だよ…」
(´・ω・`)「どうしようかな」
しかし彼は1938年にオーストリア国境を超え、
かつて父が税関使として働いていたブラウナウに入った
- 347:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 22:20:49
- ドイツ国防軍はオーストリアに進駐
3月12日の夕方、ヒトラーはリンツの市長舎のバルコニーで演説した
(´・ω・`)「よし行くぞ」
僕は彼が泊まるホテルへ向かった
ザワザワ ザワザワ ハイル! ザワザワ
ザワザワ ハイル! ザワザワザワザワザワザワ
(´゜ω゜`)(うわ、凄い人だかりだ)
(´・ω・`)「ちょっとすいません……」
ナンダアイツ アンナマエニデテナニヲ?
(´・ω・`)「あの…帝国宰相と話がしたいんですが」
SS「はぁ?(イカれてんなコイツ)」
ソウトウニアワセテダッテヨ プーナニアノオヤジ ヤマダタロウオツ
(´・ω・`)「この手紙を…」
SS「……少々お待ちを」
SS「中に入って、どうぞ」
ウオオトオサレタゾ イッタイナニモノナンダ
- 348:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 22:21:23
- (´゜ω゜`)(うああああ 新聞で見るような人ばっかりだ)
(´゜ω゜`)(そうか!明日はオーストリア併合の国民投票をやる前日だ とんでもないタイミングで来てしまったぞ…)
ジロジロ ジロジロ
(´;ω;`)(か、帰りたい……)
SS「この部屋です」
(´・ω・`)(もうここまで来たんだ 行くぞ…)
(´・ω・`)(アドルフ…は駄目だよね 礼儀正しくしないと アドルフはそういう無礼なのが嫌いだったし…)
(´・ω・`)(ゴクリ…)
ガチャ
彡(゜)(゜)「ん?」
- 349:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/01(水) 22:37:27
- (´・ω・`)
彡(゜)(゜)「お、クビツェクやんけ!」
ザワザワ 「総統と親しげに…」「な、なんだと…」「うらやましい…」 ザワザワ 「一体奴は何者だ」
(´・ω・`;)「え…えと…」
(´^ω^`;)「お、お久しぶりです総統閣下 この度は急に押し掛けてしまい申し分ありません 今日のお日柄もよく…えと…」
彡(゜)(゜)「はは…」
彡(^)(^)「上出来や、クビツェク! ついにお前も他の連中と同じことを言うようになったな」
(´^ω^`;)「あ、あはは…は…」
彡(゜)(゜)「よっしゃ!こっちに来いや!」
通された場所は、バルコニーからリンツが一望できる部屋だった
- 350:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/02(木) 08:31:18
- 彡(゜)(゜)「クビツェク、お前は本当にあの頃のままや
お前がどこにいても、ワイならすぐに見分けられたで
お前は何も変わっとらん ただ年をとっただけや!」
彡(^)(^)「久しぶりに会えて嬉しいで! まぁ座れや」
(´・ω・`)「あ、ありがとうございます」
- 351:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/02(木) 08:31:53
- 彡(-)(-)「スマンな 本当はもっと長話したいんやが…」
彡(゜)(゜)「今のワイにはブライベートはなく、
普通の人みたいに振る舞うことができないんや」
(´・ω・`)「はい、理解できています」
彡(゜)(゜)「見ろや、ドナウ川に架かるあの橋を」
彡(>)(<)「まだ架かっとるんか 昔と変わらんボロいままや!」
彡(゜)(゜)「ワイは断言するで! あの橋をあのままにはせん」
彡(^)(^)「でもな、ワイはまたお前とあの橋を渡ってブラブラ歩きたいんや」
- 352:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/02(木) 08:32:37
- 彡(-)(-)「だがそれは無理や ワイが現れれば、皆がついてまわる」
彡(゜)(゜)「しかしクビツェク、信じてくれや
ワイはリンツに対してたくさんのことをしてやるつもりや」
(´・ω・`)「あの計画ですね」
彡(^)(^)「せや! 今こそあれを実現するで! まずはでかいオーケストラからや!」
(´・ω・`)(彼は青春時代に企てたすべての計画を再び披露した
まるであの頃から30年ではなく、せいぜい3年しか経っていないかのようだった)
彡(゜)(゜)「ところで、お前は何になったんや、クビツェク?」
(´・ω・`)「私は地方官司になり、助役になりました」
- 353:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/02(木) 08:32:56
- 彡(゜)(゜)「助役とはどういうもんや」
(´・ω・`;)「え、ええと…つまり、役人です」
(´゜ω゜`)(し、しまった!これだけは口にしちゃいけないと決めていたのに!)
彡(゜)(゜)「そか、役人か…書記か けれども、お前には合わんやろ お前の音楽的才能はどこにいったんや」
(´・ω・`)(僕は話した 敗戦によって僕の音楽の道は台無しになり、飢え死にしたくなかったので、転職したことを)
彡(-)(-)
彡(゜)(゜)「せや、敗戦や」
彡(゜)(゜)「クビツェク、お前は役場書記のまま終わるべきやない」
- 354:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/02(木) 08:33:16
-
ーーー
彡(゜)(゜)「そか この小さな町で小さなオーケストラを…素晴らしいことや どんな交響曲を演奏しとるんや」
(´・ω・`)「シューベルトの『未完成』、ベートーヴェンの『英雄』『運命』、モーツァルトの『ジュピター』などです」
彡(゜)(゜)「そか それならワイはお前を援助せなな 報告書を作って送ってくれや それと、何か悩んだでることはないか」
彡(^)(^)「ワイがパパーッと解決したるで!」
(´・ω・`;)「い、いえ…つつましながらも十分生活は出来てるので特に希望はありません」
彡(゜)(゜)「ファ!?大抵のの奴は喜んで頷いてたで」
(´・ω・`)「そ、そうですか…」
彡(^)(^)「ところでクビツェク、子供はおるか?」
- 355:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/02(木) 08:34:01
- (´・ω・`)「ええ、3人います」
彡(゜)(゜)「3人もか!」
彡(-)(-)「ワイには家族がおらん 一人ぼっちや だが、
お前の子供達の面倒をみてやりたいやで」
(´・ω・`)(彼は子供について詳しく知りたがった
3人とも芸術的才能があると言うと、彼は喜んだ)
彡(゜)(゜)「クビツェクの子供にはワイらみたいに貧困で苦しんでほしくないんや」
彡(-)(-)「お前と別れてから、ワイは最悪の日々を送った
若い才能が困窮のために破壊されるようなことがあってはならんのや」
彡(゜)(゜)「だから子供達に援助させてくれや!
リンツのブルックナー学院に入れさせるで」
(´・ω・`)(僕がそれを断ると、彼はそれでも食い下がった)
彡(゜)(゜)「そ、それくらいはさせてくれや! 他ならぬ、
クビツェクの息子や 遠慮するなや!」
(´・ω・`;)「えと…やはりそういう訳には…」
彡(。)(゜)「むむ…流石ワイの親友や…他の奴に通用する手が全く通じん…」
- 356:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/02(木) 08:34:50
- 副総統「総統、流石にそろそろ」
彡(゜)(゜)「ファ!? もうこんな時間か!」
(´・ω・`;)「あ、そうでした! これを!」
彡(゜)(゜)「これは…ワイの画材や絵葉書か…」
彡(゜)(゜)「クビツェク、これらはお前だけの所有物や
これをどうしようとワイは一切関与する気はあらへん」
彡()()「全く、最近はワイが書いた絵だと言って高値で贋作を売るアホがおるんや」
彡(●)(●)「覚えとるか!?ワイが学生時代に肖像画のペアを組まされたやつを!
あいつ、ワイとほとんど喋ったこともない癖にワイの学生時代の伝記を書きよった!!」
彡(゜)(゜)「そういうものはワイのことを本当に知っとる人物だけが
書くべきや もしそういう人物がいるとすれば、それはお前や、クビツェク」
- 357:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/02(木) 08:35:20
- 彡(●)(●)「ヘス副総統、このことを直ちに記録しておくように」
ヘス「はい総統」
彡(^)(^)「ほなまた会おうや、クビツェク」
(´・ω・`)(あれから、僕の静かで目立たない生活は急に騒がしくなった)
(´・ω・`)(まず僕の所有物が狙われた ssの不良隊員や欲深な連中がよく家にきた)
役所
(´・ω・`)「あの、この書類についてなんですが」
職員「;;;;;;;;;は、はい…なんでしょうか…」
- 358:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/02(木) 08:36:41
- (´-ω-`;)(明らかに怖がられてる…たまにそうでない人がいてもコネ狙い…)
(´・ω・`)(でも新たな知り合いもできた
副総統のヘスだ 彼は他のss隊員や高官と違い、
興味深そうにアドルフのことについて聞きたがった)
(´^ω^`)「そこで彼は言ったんですよ
『彼女と一緒にドナウ川に飛び込む』って」
ヘス「ははは、女性に対しては昔からそうだったんですねぇ
今お付き合いなさっているブラウン嬢も…」
(´^ω^`;)「あはは、付き合った女性3人が自殺未遂……! ははは……は…」
- 359:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/02(木) 08:37:46
- (´・ω・`)(そして、是が非でも援助を受けない僕に業を煮やしたアドルフは
僕にあるチケットを送ってくれた
リヒャルト・ワーグナーの祝賀劇の招待状だ! それは、あくまで彼の友人としてだ)
(´;ω;`)(その公演は僕の叶わぬ夢だった! 美しい名曲、
見ることすらできなかった巨匠! もう死んでもいいとすら思えた…!)
彡(゜)(゜)「ワイが見ることができるのは、この上演だけや だが仕方ない、戦争なんや」
彡(-)(-)「この戦争のせいで、ワイの建設事業は何年も後戻りしてしまったんや
残念や ワイは戦争をするために帝国宰相になったんやない…」
(´・ω・`)「……」
彡(゜)(゜)「クビツェク、お前も知っとるやろ どれ程ワイに建設したいものがあるかを」
彡(●)(●)「戦争なんて糞や! ワイの建築計画を邪魔しおってからに……!」
- 360:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/02(木) 08:38:26
- (´・ω・`)(フランスに勝利した後こんなことを言うなんて思いもしなかったよ…)
彡(゜)(゜)「戦争が終わったら、ワイはまたお前を呼ぶ そして一緒に新しい建築を考えるんや」
彡(゜)(゜)「お前はいつもワイのそばにいなけりゃならんのや」
ヴー
パチパチパチパチパチパチパチパチ
- 361:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/02(木) 08:38:44
- こうして、最後の演目『神々の黄昏』が終わった 彼は別れ際に言った
彡(^)(^)「ほな、また!」
しかし、その約束は果たされることはなかった
- 362:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/02(木) 08:40:04
- 1945年4月
彡(^)(^)「お、拳銃と青酸カリやんけ! 同時に使ったろ!」
┏━━━━━┓
┃ / \ ┃
┃ / \┃
┃(゚) (゚)ミ┃
┃ 丿 ミ┃
┃ つ ( ┃
┃ ) ( ┃
┗━━━━━┛
アドルフ・ヒトラー 死亡
- 363:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/02(木) 08:40:38
- 8日後 ドイツ降伏
1946年 グラーゼンバッハ収容所
CIA「あなたはアドルフ・ヒトラーの友人なのですか?」
(´・ω・`)「はい」
CIA「いつから?」
(´・ω・`)「1904年からです」
CIA「それはどういうことですか?当時彼はまだとるに足らない人間だったはずです」
(´・ω・`)「それでも私は彼の友達でした」
CIA「なるほど それであなたは彼から何か貰いましたか?」
- 364:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/02(木) 08:41:17
- (´・ω・`)「いえ何も」
CIA「後年の彼はあなたを歓迎しましたか?」
(´・ω・`)「はい」
CIA「どうやって彼に会ったのですか?」
(´・ω・`)「私の方から出向きました」
CIA「それであなたは彼と一緒にいたのですか? 本当に? すぐそばにですか?」
(´・ω・`)「はい、すぐそばにいました」
CIA「二人だけで? 警備なしで?」
(´・ω・`)「二人だけで、警備もなしです」
CIA「それなら、あなたは彼を殺すこともできたでしょう?」
(´・ω・`)「できたと思います」
CIA「ではなぜ、彼を殺さなかったのですか?」
(´・ω・`)「彼は、『私の友達』だからです」
- 365:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/02(木) 08:41:58
- 1947年4月
CIA「もう帰ってくるなよ」
(´・ω・`ゞ)(僕何もしてないんだけどなぁ…)
(´・ω・`ゞ)(僕ももう57歳か)
(´-ω-`ゞ)「……」
集まれ!集まれ!
(´・ω・`ゞ)「ん」
急いでこっちに来い!
(´・ω・`ゞ)「『リエンツィ』……か 久しぶりに見てみるか
もうほとんど瓦礫みたいな劇場だけど」
劇場(急ごしらえ) 中
- 366:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/02(木) 08:43:01
- (´・ω・`ゞ)「お、この崩れた柱が腰掛けるのに丁度いいや」
石を持ってこい 松明を持ってこい!
(´・ω・`ゞ)「よっこらしょ…フゥー 腰が痛いなぁ 戦中の瓦礫運びが効いたな…」
奴は呪われた 奴は破門された!
(´・ω・`ゞ)「……」
私が引き上げてやった民衆たちも、私を見捨てた
私の幸運に集まってきた友達たちも、私を見捨てた……
- 367:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/02(木) 08:46:28
- 彡⌒ミ
(´・ω・`ゞ)「……」
彡⌒ミ
(´・ω・`ゞ)(……)
彡⌒ミ
(´-ω-`ゞ)(……)
1956年 アウグスト・クビツェク 死去
彼の残した著書は青年期のヒトラーを詳細に記した数少ない資料として今日も参考にされている
{完}
- 368:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/02(木) 09:29:39
- 売国朝日放送
与那国島の自衛隊についてインタビューしてたんだが
何故か反対の意見以外報道してない
やっぱり偏向報道得意だね|ω・`)
- 369:内藤 Brigadier General2023/02/02(木) 11:25:42
- ( ^ω^)豚肉のようです
- 370:内藤 Brigadier General@冨土兒いたお ★2023/02/02(木) 11:26:34
- ある所に1匹の豚がいました
その豚の名前は内藤ホライゾン
仲間内ではブーンと呼ばれていました
彼は養豚場の中で何不自由なくすくすくと育ちました
しかしそんな幸せな日々は長くは続きません
そう、ついにあの日が来たのです
豚肉に加工されるあn ry)
- 371:内藤 Brigadier General@冨土兒いたお ★2023/02/02(木) 11:27:49
- ( ^ω^)「なんだおこれ」
川°-°)「途中で割り込むな、話がとまってしまったじゃないか」
( ^ω^)「割り込みたくもなるお!なんで豚肉なんだお!いみわからないお」
川°-°)ノシ 「いいから続けさせろ」ベシッ
( ^ω^)「痛いお 痛いお」
川°-°)「この部位はカットしておいてくれ」
( ^ω^)「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアギュギュフフイフィくぁwせふじこlp」
(ω)「」
( ^ω^)「あ、あれ?生きてるお」
( ^ω^)「…逃げるお」
- 372:内藤 Brigadier General@冨土兒いたお ★2023/02/02(木) 11:28:22
- 彼は逃げました
そして逃げる内に港へ辿り着きました
( ^ω^) 「ここまで来れば大丈夫だお」
( ゚∀゚)「だ、誰だ!」
静かな港に彼の絶叫が響きます
( ゚∀゚) 「し、しまった」
( ^ω^)「どうしたお?」
( ゚∀゚)「静かに」
そう言うと神経を研ぎ澄ませ
周りの気配を探ります
- 373:内藤 Brigadier General@冨土兒いたお ★2023/02/02(木) 11:28:52
- ( ゚∀゚)「よかった、誰もいない」
( ^ω^) 「状況がわからないお」
( ゚∀゚) 「すまない、所でお前は一体…?」
( ^ω^)「僕は内藤ホライゾン、豚肉だお。ブーンと呼んでほしいお」
( ゚∀゚) 「そうか、俺はジョルジュ長岡だ。ジョルジュって呼んでくれ」
( ^ω^)「それでジョルジュ、これはどういう状況だお」
( ゚∀゚) 「話せば長くなるが…」
ジョルジュの話はこうでした
彼はとある組織に属していました
しかしひょんな事から組織の重大な秘密を知ってしまったのです
そのせいで彼は命を狙われるようになりました
- 374:内藤 Brigadier General@冨土兒いたお ★2023/02/02(木) 11:29:14
- ( ゚∀゚)「と…言うわけなんだ」
(;^ω^)「大変なんだお、いったいどんな組織なんだお?」
( ゚∀゚)「ああ、組織の名は“おっぱい教団”世界中のおっぱいを愛でる会だ」
( ^ω^)「一気に下らなくなったお」
ジョルジュはブーンの言葉に怒りました
( ゚∀゚)「下らないとはなんだ!?おっぱいはな、おっぱいは凄いんだ!?」
( ; ^ω^)「落ち着くお!大声を出したら見つかるお!」
(; ゚∀゚)そ 「!?…悪い」
( ^ω^)「それで秘密ってなんだお」
(; ゚∀゚)「それは…」
- 375:内藤 Brigadier General@冨土兒いたお ★2023/02/02(木) 11:29:38
- ( ^ω^)「どうせ僕は豚肉だお。話したって構わないお」
( ゚∀゚)「それもそうだな」
それからジョルジュは静かに組織の秘密を話しました
( ゚∀゚)「あれはつい数時間前、俺は組織の炊事係だった
あの時いつものようにボスに食事を持って行ったんだ
そして気付いたんだ、豚肉を忘れた事
まあそれからは単純、食事をしながら秘密の会話をしていたのを盗み聞きしてしまったんだ」
- 376:内藤 Brigadier General@冨土兒いたお ★2023/02/02(木) 11:59:33
- マジで見てる人いる?(;ω<)
- 377:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/02(木) 13:06:05
- 見てる人居ないみたいだけど投下するわ
( ゚∀゚)「思い出すのも恐ろしい……
全世界のおっぱいをちっぱいに変えるって計画だ………」
( ^ω^)「やっぱ下んないお」
(# ゚∀゚)「下らないとは」
( ^ω^)「見つかるから黙れお」
( ゚∀゚)「すまん」
( ^ω^)「で、豚肉を持ったまま逃げ出したのかお?」
( ゚∀゚)「今考えても可笑しいよな、豚肉持って逃げるとか」
( ^ω^)「まあ普通じゃないお」
- 378:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/02(木) 13:06:22
- ( ;∀;) 「俺は一体どうすれば…」
ジョルジュは突然泣き出しました
例え下らない組織の下らない秘密とは言え
命を狙われる身です
恐ろしく無い訳無いでしょう
ブーンは今更ながらに自分を責めました
( ^ω^)「ごめんお!僕がとっては下らなくても
ジョルジュからしたら大変な問題なのにお」
( ;∀;)「いや、いいんだ…他の奴からしたら、下らない問題なんだし…」
( ^ω^)「元気出すお。僕も逃げるのに協力するから」
( う∀;)「あ、ありがとなブーン」
僅かながらもジョルジュの瞳には希望の光が見え始めました
( ゚∀゚)「頑張ってあいつらの計画を阻止してみせる!」
- 379:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/02(木) 13:06:40
- ( ^ω^)「逃げるんじゃなかったのかお?」
( ゚∀゚)「こんな事態おっぱい好きとしては逃げてなんかいられねぇよ」
( ^ω^)「残念なイケメンだお」
( ゚∀゚)「残念ってなんだよ、普通にイケメンって言えよ」
決意を新たにジョルジュはブーンと笑い合えるようになりました
( ゚∀゚) 「よし、まずは一緒に闘ってくれる仲間でも探すか」
( ^ω^)「ジョルジュならできるお」
( ゚∀゚)「ああ、これからよろしくな、ブーン」
( ^ω^)「」
( ゚∀゚)「どうしたブーン?」
( ^ω^)「僕には無理だお」
( ゚∀゚)「どうしてだ!?お前が豚肉だからか!?」
( ^ω^)「常識的に考えてそれしかないお」
ジョルジュは悲しみました
自分にやる気をあたえてくれた相手と
一緒に居られない
それは静かに、しかし確実にジョルジュの心を蝕みます…
- 380:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/02(木) 13:06:58
- ( ゚∀゚)「別に豚肉だからって問題は
( ^ω^)「腐るお」(即答)
(; ゚∀゚)「ちゃ、ちゃんと保存すれば…」
( ^ω^)「時の流れは無情なんだお」
ブーンは諭すように話します
一緒に行けない事
自分にも目的がある事
ジョルジュも静かにブーンの話を聞きます
( ∀ )「そうか……」
( ^ω^)「すまないお」
( ゚∀゚)「いや、ブーンにはブーンのやる事があるんだし、謝らないでくれ」
( ^ω^)「ありがとうだお」
( ゚∀゚)「…俺、もう行くよ」
( ^ω^)「ジョルジュ…」
- 381:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/02(木) 13:07:45
- ( ゚∀゚)「一緒にいたら引き止めちまいそうだからな」
( ^ω^)「わかったお」
そう言うとゆっくり立ち上がり、ブーンを残して港を後にします
( )ノシ 「またな!」
後ろを振り向かず手を振るジョルジュ
その声は僅かに震えてる様な気がしました
( ^ω^)「またなだおジョルジュ」
( ^ω^)「…この後豚肉どうするお」
・
・
・
・
・
広い部屋、いや、部屋というよりむしろ空間と呼んだ方が正しいでしょうか
そのただただ広く、無機質な空間の中に1つの机と1つの椅子
椅子には1人の青年が、机には一切れの豚肉がありました
( <●><●>)「そろそろ来る頃だと分かってます」
( ^ω^)「お?」
( <●><●>)「よく来てくれました」
( ^ω^)「…珍しいお。僕が出て来て驚かないなんてお」
( <●><●>)「分かってましたから」
- 382:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/02(木) 13:08:02
- 青年は豚肉を、いえ、正しくは豚肉の上の何も無い「空間」を見つめています
( <●><●>)「貴方がそこにあるのは分かってます」
( ;^ω^)「なんでわかったお?」
( <●><●>)「僕にはこの世のほぼ全ての事が分かっています」
( ^ω^)「それはすごいお」
( <●><●>)「でも1つ分からない事があります」
( ^ω^)「お?分からない事かお?」
( <●><●>)「そうです。だから今日は貴方をここに呼んだんです」
青年は名を『ワカッテマス』と言い自身に特別な力がある事を話しました
彼の力は世界の全てを見透かす事です
しかしその力の及ぶ範囲は現実世界だけ
彼は知りたがってました
全てを知り得る自身が唯一知ることのできない世界について、死後の世界について
( <●><●>)「貴方は一度、死んでいます、
だから向こうの世界について何か知っているはずです」
- 383:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/02(木) 13:09:37
- ( ^ω^)「おー…」
( <●><●>)「教えて下さい、僕のわかっていない世界の事を」
( ;^ω^)「無理だお、覚えて無いお」
( <●><●>)「本当は覚えているのは分かってます」
彼のいう通り、ブーンは覚えていました
自分が死んだ瞬間の事も死んだ後の事も
けれど、頑なに話そうとはしません
( ^ω^)「話せないお」
( <●><●>)「分かりません、どうして話せないんですか?」
( ^ω^)「こっち側とあっち側は別物だお。交わってはダメなんだお」
( <●><●>)「なら あちら側の貴方がここに?…少なからず例外も存在する
ということは分かってます」
( ^ω^)「めんどくさい奴だおね」
するとブーンは諦めたかの様に口を開きました
( ^ω^)「今から話す事は他言無用だお。わかったお?」
( <●><●>)「分かってます」
( ^ω^)「僕の記憶にあるのは僕が死ぬ少し前からだお──────」
それから数十分、ブーンの話は続きました
とても恐ろしく、気持ちの悪い話です
きっと、ブーンは思い出したくも無い記憶でしょう
彼の目から光が消え、顔からは血の気が引いていきました
声色など、最後には絞り出した様な苦痛の滲むものでした
( ω )「分かったかお?」
( <◯><◯>) 「」
( ω )「これでお前の望みは叶ったお。ならもう困ってないおね?
僕は忙しいんだお。もう行くお」
( <◯><◯>) 「ブーn」
( <◯><◯>)「分かっていました…僕なんかが知っては行けない世界だということくらい」
( <◯><◯>)「それでも僕は…」
豚肉のようです《完》
- 384:名無しさん@1ちゃんぬる2023/02/02(木) 19:12:09
- >>254
見てるで
またエライテーマ扱ってるなあ(驚
- 385:内藤 Brigadier General@イカ娘 ★2023/02/02(木) 20:24:27
- >>384ありがと
だけど行数制限があってカキコできん事も多いわ
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